お手火神事






《名称》

正式にはお手火神事。俗に“おてび”“みこし洗い”“おいで”とも言われる。


《由緒》

起源不詳なれど、神輿の棟札等から鎌倉時代には行われていたとの説もある。
我々の祖先は火を非常に恐れ且つ大切にし、またすべての不浄を清めてくれると信じていた。この観念がいつしか信仰に変り祭典にまで進んだものと思われる。
翌日行われる神輿渡御に先立っての境内・町内の清祓、氏子の病気厄払いとして斎行されている。
素佐之男命つまり祗園さん(鞆祗園宮)の祭礼(夏祭)で第二日曜日の前夜(土曜)に行われる。<元々は旧暦6月4日>


《手火》




大手火(三体)・・・・重量:約200kg、長さ:約4m、径:約1.2m
神前手火(一体)・・・重量:約30s、長さ:約1.8m








《祭儀》


午後六時、第一鼓が拝殿内五張の太鼓で三十分間打ち鳴らされ、続いて午後七時第二鼓、そして午後八時の第三鼓、宮司以下参進。
献饌(特殊神饌に蛸・縞瓜がある)、祝詞奏上、次いで宮司殿内にて火を鑽り神前手火に神火を移す。
白装束の祭事運営委員七名・警護七名、計十四名これを受け、大石段を駆け下り随神門外南側の清められた区域に安置された大手火を祓い神火を移す。直ちに引き返し神輿庫を祓い神前に帰る。
一方、大手火はそれぞれ当番町の氏子青年達(総勢百名ほど)に奉舁され、古来定められた順番で大石段(四十五段)を右に左に一歩一歩少しずつ進み拝殿前の装置場まで舁き上げられる。
一旦安置された後、神輿を庫から出し拝殿に納め、三体揃えば大手火を再度舁き、境内を廻りそれぞれの当番町へ持帰り、町内を祓い清めて神事を終了する。(午前零時頃)
参拝者は舁き上げられた大手火から小手火に神火を移し、各家に持帰り、厄除け・家内安全また田畑の害虫を送り豊作を祈る。





《参考》

蛸・・・・・・・・・厄を祓い、福を吸い付ける、また足の健康を祈る意があるとされる。
縞瓜・・・・・・・・社紋(木瓜)
祭事運営委員会・・・旧鞆町七町より選出された、祭事を奉仕(運営)する者で構成される。